間違いなく2024年のベストブックです！

基地の街、沖縄。フェンスの向こうには青春が広がっている。ベトナム戦争を挟んだ時期、日本で唯一カタカナ表記の街であったコザには、30軒以上の刺繍店が並んでいた。現在の沖縄市となった今でも、当時から続く店舗がいくつか存在する。これらの店舗では、兵士たちが持ち込んだ刺繍用の原画や、彼らの要望を基に店主自らが描いた原図が大切に保管されている。これらのグラフィティは、時間が経つにつれて貴重なアーカイブとして私たちの目の前に現れている。手で触れることのできるほどの死と向き合っていた当時の兵士たちの心情を、これほど純粋かつストレートに伝えてくれるグラフィティは他にない。この魅力こそが「コザ・グラフィティ」なのだ。